自分をも欺くために、すべて/ホロウ・シカエルボク
く、拗らせた火傷のような思いだけが虫の卵のように植え付けられて繁殖を始める、生まれ増えろ、ここにはお前を食らうものは何もない、好きなだけ増え続ければいい、もうそんな陰の蠢きを楽しむ程度の余裕くらい持っている、この身体を食らい尽くすがいい、どいつもこいつも―人の一生など履いて捨てる程度のものだ、だってそれは誰にしてみても、どんな人生でも曖昧にならざるを得ないのだ、長く生きて、なにひとつ覚えていることすら出来はしない、表向きはそうなる、確かにそうなる、頭で何とかしようとするから虚しくなるのだ、肉体に刻まれたものを信じていればいい、無理に言葉にすることはない、言葉になりたがるものはこういう時間に勝手に寄
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