9月9日/唐草フウ
その日の午後は
いっそう高気圧が張り出し
夏の残ったしめり気より日照りが勝った
まぶしすぎる陽光と
車で海岸線を走る
反射するひるまの海
キラキラキラ
それは水面に遊ぶ星と
まばたくさかなたちと
こぼれ舞うさくらの花びらたちのようで
とてもきれいだった
鎖骨までしたたる汗をかけること
あなたのなまえを
この指でなぞること
自分の影があること
石壇が燃えるように
熱い
ダクトの向こうにいる
あなたに手をあてる
その日の午後は暮れるには明るすぎて
進むわたしとは逆に
海岸線を走る
日焼けした人の群れが
リズムを合わせ駆けていく
洋々ときらめいていて
すこしかなしかった
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