唇/たもつ
 


散乱したゴミが
部屋の片隅
産卵をしていた
孵化して命となったゴミに
名前をつけていく
太郎や博美は
早くに死んだ
真理子や貴文などは
長く生きて
また新たなゴミを産んだ
季節は皆に平等に訪れ
順序よく繰り返された
自分の唇に触れる
昔より乾燥していた
いずれ開かなくなり
誰の名前も呼ばなくなる



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