『世界樹の断面』以後/中田満帆
秋祭 射的場に立つ子供らのライフル銃の照準寂し
死を謳う生者ありしや自裁さえできぬわが身を忘れたらしめ
紅わずか残るきみの唇よもっとも愛しくおもえり
なじみなき通用口を通されてやがて迎える秋の雛壇
イメージの水湧きぬゴダールの遺言とともに上映中止
かくしだてするものあらず天水の果てに流るる本番台本
せめて幾許かの赦しをと声がして改札口で?る男ら
莇踏む バスの出発時刻なれど靜止したままの時計
なにへ寄す詞書きかと問うなかれ これは詞にあらぬ中秋
汎神に応えよ 沖流る競技用ボートゆれる潮で以
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