風/田中教平/Kou
湿っぽい風の中を歩いてきた
さくばんの雨で路傍がきらきらしていた
きらきらに意識が混濁しつつ
湿っぽい風の中を歩いてきた
僕はラッキーストライクに
カフェラテを買った
妻が何を買ったか知れない
でも
妻はいつも糖分不足なんだ
湿っぽい風が甘く変わった
そこにふたりでいた
僕らはどこへもいけない
この街からどこへもいけない
湿っぽい風が
渇いた風に変わるまで経たなきゃならない
待たなきゃならない
というかもう泣きたいのだけれど
僕の書くのは乾いた叙情
しかし内実は身悶えている・・・
湿っぽい風の中を歩いてきた
そのきらきらに意識が混濁しつつ
湿っぽい風の中を歩いてきた
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