慈雨/
そらの珊瑚
まだ幼かったわたしの髪に飾ってほほえんだ。
もう遠いむかしのことすぎて
今となってはまぼろしのようだ。
まぼろし、だったのかもしれない。
記憶の中の
ほんとうのまぼろし。
かかが着ていた花模様の小袖は
今の私にぴったり。
それはそうと、ずっと日照り続きで
土は松の樹の肌みたいに乾ききってる。
飢饉にならなきゃいいけど。
人も草も雨を待ってる。
みんなして雨を、祈ってる。
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