最果て、待つ人魚/秋葉竹
 

 

秋の森には、青いそよ風が吹いて
森の中のおおきな池には
なぜか、
金色の人魚が棲んでいるらしいのです

うっそうと陽光を遮る森たちの
樹々の隙間をぬうように
さやさやとしたやさしい光が
人魚を照らすらしいのです

眼鏡をはずさなければ
みえない光景だと聴きます

さまざまな気体と
白くて細い陽光が
おおきな池に降り落ちて
そこに初めてみるしあわせが
うすくにじむように
波に変わってゆくのです?
左手の薬指を池につけるのです
ひんやりとした夜を想い出すのです
云いたいことなど
ないのです
ただ、かすかな声が聴こえた気がしたのです

それ
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