約束の地/由木名緒美
ましていることは分かっている。けれどみきちゃんにとって、それは余計に彼女を追い込む言葉となってしまうというのが、悲しい現状だった。
「そうだよね……」
私はみきちゃんの感情と溶け合えるようにと願い、彼女の現実にただただ、相槌を打った。
カフェを出ると、近くの木漏れ日の優しい公園のベンチへと移動した。
「金木犀の香り。私、好きなんだ」
大きな金木犀の木をを見上げると、みきちゃんは気持ちよさそうに目を閉じた。
みきちゃんの髪を風が撫でる。何もかもが幸福であるかのように、みきちゃんは微笑んで「今」ここに存在している。
天国と地獄は別々の世界にあるのだろうか。みき
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