零時/リリー
 
 遠くにいるあなた
 遠くにいても
 息づかいを感じる程には一緒に居ない
 あこがれのような
 かなしみのような
 その境目で
 私が寂しがっていようなどとは
 思っていないかも知れないあなた

 鏡をみていたら涙が出てきた
 思わず叫びたい様な無音の重たさ
 あなたがどこかで楽しんでいるという時に
 涙は一筋の潮の流れになって
 海面に泡立ち
 波間に躍る

 細く曲がった道が
 とある塀にぶつかって
 優しく身をよけている街
 私は あなたの居ない夜闇の生ぬるさに
 心ゆられていつかねむった
 
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