さよならを見上げて/ころここ
 
九歳から十歳になったとき

「もう、次に桁が変わるのは百歳までないね」

そう母親が笑ったとき

とても寂しくて いたたまれなくて

一桁にちゃんとお別れしてない自分が恨めしくて

懐古と愛情と きっと温かさから出た言葉に

私は笑顔では返さずに


きっと今日の私は そんな顔をしている


戻る   Point(5)