仮の家/
九十九空間
午前七時、パリはまだ暗い
僕たちが住む
仮の家が面した道路から
車の音が聞こえる
正午、パリには
傘をさすほどでもない
雨が降っていて
大きな地震が来たら
一瞬で粉々になりそうな
建物が並んでいる
大きな地震が来たら
仮の家も
粉々になるだろう
午後七時、パリはまだ青い
好きだった歌手が死んで
僕は、大きな地震が
今パリを
襲えばよいのにと思った
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