手遅れの破片/
松本 卓也
微かに開く帳の向こう
虚栄に嘲笑う一人芝居
尋ねる夜に星は欠伸し
顧みられぬ隙間を嘲笑(あざわらい)
言葉を今日も取り繕う
良き人の楔に囚われて
開いた指に意味は無く
躯がただすり抜ける手
空き缶の底に吐く自傷
意味はない言葉の亡骸
曇る夜に浮かべる心象
救済は皆無なのだから
宵闇は月を照らさずに
残る自尊は既に手遅れ
呟く破片を抱きしめて
この首を締めておくれ
戻る
編
削
Point
(1)