手遅れの破片/松本 卓也
 
微かに開く帳の向こう
虚栄に嘲笑う一人芝居

尋ねる夜に星は欠伸し
顧みられぬ隙間を嘲笑(あざわらい)

言葉を今日も取り繕う
良き人の楔に囚われて

開いた指に意味は無く
躯がただすり抜ける手

空き缶の底に吐く自傷
意味はない言葉の亡骸

曇る夜に浮かべる心象
救済は皆無なのだから

宵闇は月を照らさずに
残る自尊は既に手遅れ

呟く破片を抱きしめて
この首を締めておくれ
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