人間の条件/森 真察人
落涙=らくるい}をしていた
今朝は木洩れ日に耽(ふけ)り
いつも通りに出ていった
?
お父さん
僕の中指を握って
妻と抱擁してください
僕のギターの音(ね)を聴いて
得意気に笑ってください
あなたがそうしている限り
途(みち)は必ず続きます
映画館へと至る途
お父さん
あなたに謝り足りません
感謝はもっと足りません
だから僕はお母さんと
あなたと一緒に歩みます
裸足のままでお母さんは
あなたの半身を支えて
僕は地図を作りながら
途の行く手を示します
ほら お父さん
木と木の間の青空の
輪郭の変わりゆくところ
その色の移り
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