秋/漸く/
夏井椋也
物思いの先に
秋がとまる
キバナコスモスの先に
ツマグロヒョウモン
夏のような時間が
漸く終わろうとしている
熱風と湿気に
塗りこめられていた
思い出と思い入れと
思い上がりと思い込みが
漸く動き出した
ぼんやりした
眼差しと足取りで
見慣れた迷路を
彷徨うことができる季節が
漸くやって来た
戻る
編
削
Point
(10)