バキューム・パック/ホロウ・シカエルボク
 
まあ、理屈で生きてるわけじゃないし、そういうことはあまり気にしない、どんなことにだって変化を求める心は必要だ、もしも同じことの繰り返しで良いのなら、人生なんて八十年も生きる必要はないだろう、時にはコーヒーそのものよりも変化というものが必要な瞬間というものもあるさ…それもわりかしコンスタントに、ね―苦みはすぐに何処かへ失せてしまう、俺はすでにそれを懐かしく思う、でももう一杯飲もうとは思わない、ノスタルジーは二度とやり直せないからこそ胸にしがみつくのさ、この日、この時間、焦点の合わない欲望と焦燥を抱えてインスタントコーヒーを飲み干した、例え安物だったと言ってもそれをやり直すことなんて不可能なのさ、そん
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