また一歩、この朝に/ひだかたけし
明けゆく青い大空に
電柱の突端突き刺さり
向かいの家の甍が輝き出す
僕は大きく胸開き深呼吸をして
新しく訪れたこの一日の始まりに挨拶する
あゝいつしかあの青に包み込まれ
おゝ確かな手応えをこの内面に掴み取り
あゝ生き生きと創造スル感覚の原野に参入する
光の渦に電柱のカラスの翼の艷やか黒々と滑り
ほら、地球をぐるっと一周した太陽のお出ましだ
空の青に幾筋もの力線が走り漲る波動の大洋と化す
掛け替えのないこの一日に祝福のうたを響かせ
共に歩み出す数々の命の鼓動が光の渦に呼応する
さあ 始まりだ、また始めるんだ
何度でも死に何度でも生き返り
とどまることなき行進更新 、
内なる宇宙を弾ける感覚の原野に流し出せば
至高の魂の実感、刻まれる肉体を纏い
僕は自分の確かに此処に在ることを
照り返る固いアスファルトに叩き付け噛み締め
また一歩、この朝に
個体の余韻を味わいながら
自分の中の深い衝動に従い
進む、進む。
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