檻/這 いずる
足から冷気が這い上がる
私の友達のことを思う
冷たさが自分を罰しているんだって
私の根拠の無い救いの罰を
私は、私は、私は
こうして生きて君のいない夢見心地の
空間に何を見た
私、ずっと待っていたんだよ
私がずっと待っていたんだよ
情念しか残らないことでも
もうそれが思い出のきらきらを汚しても
へばりついた君の欠片が
これ以上の変質しない事を祈り
祈り、祈り、その想いがまた折り重なる
爽やかなレモンの香りで
裸足でかけて果樹園を抜けて
夏の眩しさに立ちくらみする
それの私と
重力のかかる肉襦袢を着た
この体の中に閉じ込められている
胃が痛い、気持ち悪い、体が痛い、頭が痛い
私の
私の姿かたちが鴉になっても
私が狸になっても
私が海の虫になっても
私が影になってもどこにもいなくても
私のことを私を愛してくれますか
詞を失った私でも
姿を失った私でも
私を失った私でも
私はもう君のことを忘れました
忘れてしまいました
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