暗号ver2/パンジーの切先(ハツ)
腹が立って、
うんと、とがらせた脚の爪先で、地面に、いくじなし、と大きく書いてみる、
それからは、すっかりくたびれた脚を引き摺りつつベンチに座って、
「てんしには眉毛がないようだ、」
と、ノートに付け加えて、
あたしは、あたしに書かれることによって、よごれていくぽえむのことを迎えにいくつもりだ、
脊椎動物には、いのりは無理だと、決めてかかっている、
対岸にいるぽえむたちに、
あたしは、この両腕から生えたばななを渡して、友好のあかしにしたい、
ああ、あたしの身体のどこにこんなあざやかな、黄色い夏の断片があったの、
雲が高くて、下を見るのがとても、こわい、
戻る 編 削 Point(5)