寝苦しい夜は牙を研ぐのに向いている/ホロウ・シカエルボク
、そういう風に出来ているんだ、そんなことは無いって言えるかい、規律と情愛に満ちた素晴らしい世界だって、言えるかい、ええ?詭弁をいくら並べたって駄目だぜ、生き易いからってだけでそんなものを選択しちまうようじゃお終いだ、時間を無駄にするのは趣味じゃないんだ、俺以外の誰かがどんな生き方をしようが知ったこっちゃないが、俺の邪魔だけはしてくれるなよ、出口はいつだって自分で作ってきた、これからだってずっとそうさ、俺が身体の中で飼い慣らしている獰猛な獣は、いつか俺の腹を食い破って世界に牙を剥くだろう、そのとき喉笛を破られずに済んだ誰かが、俺がやり残したことの続きをやってくれるだろうさ。
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