台風のあと/そらの珊瑚
 
からりと晴れた
あさ、きのうまでのあめかぜがうそのように
ジンジャーホットティーはからくてあまい
のどをとおりすぎるとき
ギフトのように細胞にしみた
暑さをまいとし更新するような夏
この夏もまたそうだったけれど
こうやってゆっくり季節はかわっていく
ひとなつを生きてサボテンはじわじわやせた

とつぜんせみがなきだす
まるで耳のとなりではじまったような
目の覚める大音量で
声のでどころをさがす
家のかいだんをのぼったところの
ちいさな西向きのまどの網戸につかまった
つくつく法師が
この家全体を楽器にしてふるわせていた

ほんのわずかなワンコーラスは

いのちは
生まれては死んで
だれかの手をかりて
だれかに手をかして
そうやってつないできた
永遠みたいな一瞬

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