憧れ/
たもつ
九回二死走者なし
わたしは十七歳だった
バッターボックスで
晴れた外野ばかり見ていた
白線に囲まれて内と外は
確かにそこにあるのに
わたしを囲む輪郭は
ぼんやりとするだけで
虚ろだった
十七歳で重いものを背負わされ
ゲームセットも告げられないまま
生きることにただ憧れていた
まだ生きてる
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