SEAHORSE/ 湯 煙
 











 空からぶらさがる朝。眠りの残る背のかたさを気にしつつ、
  やや大きめの欠伸をすると、海面から降り注ぐ陽の光の眩しさに、おもわず、
   海藻に絡めた長い尾に力が入ってしまうのを少々疎ましく感じながら、ふくらむ腹を見る。
 




  腹がふくれているのは、妻との交尾によってできた、多くの卵を入れているためであり、
   孵るまで夫が守り続けている。妻はその間に海底へと向かい、
    険しい岩石や泥地に付着するベントス、付近を漂うネクトンを補食し続ける。
 




   妻は普段、ベントスやプランクトンを求め、穴に
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