土の日/
本田憲嵩
土曜日、
掃除のため工場の窓を開けて、
そのすぐ下を見やる、
とても窮屈な折半屋根のいくつもの溝に、
いつの間にか溜まっている、僅かな土、
そこからひょっこりと生えている、
数本のほそながい雑草、
そのことが思いもがけずに、
いのち、で、今朝はなんだか妙に、嬉しい、
風を浴びながら、葉が光を食んでいる、
思いもがけずに、
私たちもまた生きている、
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