それでも私は山に向かう/山人
 
いるかわからないので、指で触り尖り具合を確かめる。次は、伐った木挽き屑を外に逃がしてやるために刃を左右に少し折り曲げてアサリを出す。雑巾のようになった上着を脱ぎ、身支度を整える。これ等のメンテナンスなどを終え、本隊と合流。暑かっただのきつかっただのと言葉を投げ合い、現場を後にした。

 今日私は本来登山道除草に行くべきなのだが、昨日の勤務での刈払い作業があまりにも過酷であったため、終日休むことにしたのである。スパイク付き地下足袋を新調したかったし、とにかく休みたかった。これからどんどん休まなければ持たない体になってくるだろう。ずっと肉体労働者だったし、酷使続けたツケが来ている。
 ずっと自分を卑下し、過酷な試練を敢えて自分にさせてきた。
 今月末、私は登山道除草を終わらせているのであろうか。やり遂げられる、という自信はあまりない。でも、それでも私は山に向かうと思う。

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