【渓流】 雨の日の釣り師のために/
レタス
釣り人は絶えず空を占っている
彼は雨模様の日々の間隙を縫って車を飛ばした
渓の入口に着くと水の唸りが聞こえてくる
今日も駄目だと知りながら
狂ったように竿を振り出し続けた
やがてまた雨が降り始め
辺り一面水の中
彼はモスグリーンの装束で身を包み
森のみどりに溶けながら
やがて透明になっていた
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