鴎とエゴサ/秋葉竹
 

 

海が集めてくれた流木を
彫り、刻み、磨いて、
鴎を作る

なにも詰め込んではいけない
空洞は
空洞のままがいい

心を壊す意味を知らないで
語りつづけた弱気な希いは
だれにもやさしくされたいのに
希いがかなう未来はどこにもなさそうだな

希いは、希いでしか無い

神さまも闘うことを休まれる
十月とかにちいさな神社にゆくと良い

昔撮った白黒写真に
子どもの頃の私が
帽子を目深にかぶって映っていたのは
この神社の鳥居のまえでだ

懐かしい過去は、けして視えないけれども
なぜか、視える気がするよ
静かな黄昏に
母が私を呼ぶ声が聴こえたり
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