土砂降り雨/本田憲嵩
土砂降り雨、
それは胸中の無性のそわそわ、
屋内という安全圏から聞く、
トタン屋根を打ちはじめる激しいその響き、
一時的に水浸しになってゆく外の世界に、
人は良くも悪くも予感する、
いつもとは違うなにか、
世情のなにかが大きく一変してゆくような、
そんな淡い期待感、
土砂降り雨、
それはときに悲しみ、それはときに怒り、それはときには歓喜、
そんな野外の代名詞、
ときに人は自らの身体をそれら雨粒に激しく打たせながら、
それ以上の感情の炎を人目も憚らずに露わにする、
そのとき人と雨との境界はもうすでに無くなっている、
ときには天からの雷鳴がそれらに伴って、
感情の烈火が世界のすべてを煌めかせる、
そんな生命のほとばしり、
土砂降り雨、
やがて晴れわたった青空の輝かしい太陽に育まれてゆく生命(いのち)たち、
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