ロスト・チャイルドは未知なる世界の為に変異種的な成人をする/ホロウ・シカエルボク
 
さ、港の向こうには大きなプラントがあって、それは朝だろうと夜だろうと稼働し続けていて、強力な灯りがあちこちで灯っていた、俺はそれを真空管のステレオみたいだって思ったのさ、だからそれを見つめていようと思ったんだろうな、特別何も無い夜だった、今日みたいなさ、俺は馬鹿みたいに短くなった煙草を捨てて新しいものに火をつけた、そんな機械になったみたいだったよ、思えば煙草なんて吸ったのはあれが最後だ、そしてこの先二度と吸うことはないだろうな、なにしろ何が美味いのか分からないし、手は汚れるし服は臭くなるしね、なんとなくで買ってみたけど、こんなものはまるで必要のないものだっていう結論だったね、視界だって変に霞むしね
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