ロスト・チャイルドは未知なる世界の為に変異種的な成人をする/ホロウ・シカエルボク
も求めなかった、もとよりさっきから言っている通り、この夜の散歩は代用案に過ぎないんだ、どこかの店に潜り込んで一杯飲むにも夜が更け過ぎていた、二十四時間営業のレストランで怪しまれながら安い酒をお代わりする気になんかなれなかった、第一、タクシーを捕まえなければそんな店に行く術も無い、昔はこのあたりにも五人で満員になるような小さな珈琲の店があって、夜通しいつでもちゃんとした珈琲を飲むことが出来た、でもその店のシャッターは長いこと閉ざされたままになっている、紅茶に小さな芋をぶち込んで飲み干すような下らない流行が世間を支配していた頃のことだよ、この世界はもうまともな飲物すら求めないというのかね、アイスクリー
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