ふりかえる生長/soft_machine
山のおくでおきすてられました
かえりはとらっくのに台にかくれ
しらない町でおちつきました
シンバルがあった訳だナイフもそろってた
ひらがなに慣れてゆくにつれ
次第に晴れてゆくと同時に
何も伝わらないものがあった
そうじゃないんだと叫びたいのに
ことばは既に檻であり刃であり飴と鞭であったから
暗い部屋で感じる、という経験に包みこまれる
苦い柿の実の本当の意味を握り潰した
未だに痺れたままの手のひらが
次の何かを掴もうとしている
それが簡単だと思えたこともある
絵と音がわだかまる日々とは異なって、このなないろの星で
時どき憎みながら
みじかい愛にくるしみ
思い出にしまうため切りとる
チェロよ、コローよ
空から鳩がまい降りて また落ち葉がゆれた
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