都心徴候散策/ひだかたけし
郊外から久々に都心に出れば、
拡がり迫り来る無機空間の
白壁に聳え立つビルディング群、
それら狭間に伸びるアスファルトに
浄められる如く洗練された装い身に纏い
行き来する一律精巧細工な女の子群れ優雅に
彼女達の持てる時空の
狂気も正気も狭間も無き
なんて平板無臭な免色さ
剥き出された滑らかな太腿
銀色に輝くイヤリングや指輪
小気味よく計算され尽くした
有意義な機能美の人生の一頁
行き来する 、 目眩する
優雅に精巧細工な女の子群れ
白壁に聳え立つビルディング群
時の直進する果ての地平へ
押し流されゆく共に伴い合い
跡に残光輝かせる夏の薄青い空、
ぽっかりと只ぽっかり迫り来る
無機空間に全て呑み込まれゆき
額から流れ落ちる塩の汗 、
打ち寄せ返す郊外へ未だ辛うじて戻り
みんみん蝉の執拗な迄の生命の発声ほっと
おっとりした娘たち、地元に根付き
一人一人の笑い弾け街道沿い歩みゆけば
森林の緑深く奥まり意識の己に触れ揺れて
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