Believe/鏡文志
 
クロースを信じるのは、プレゼントが欲しいからでしょう? そう、都合」
「お父さんはそう言う、甘ったるい期待が大っ嫌いなんだ。それと分からず、僕は信じたフリをした。最初に僕を騙したのは、お父さんの方だね」
「ううん。お父さんはきっと貴方に、信じて欲しかったのよ」
「ハッハッハッ」
ピーターは笑う。それも高らかにである。
「どうしたの? ピーター?」
「実はオイラもそうだと思って、顔色を伺った。でも、その後の行いを見れば、それが嘘だと言うのはよく分かるこった」
ピーターは、寂しそうに俯く。
「愛とは、都合でしょうか?」
ピーターが顔を上げ、夜空を仰ぐように尋ねると、ウェンディはそうっと、ピーターに左手を差し伸べ、こう言う。
「いいえ。愛は都合じゃない。こうやって手を繋ぐと、互いの手が火照る。それが、愛よ。信じるのは、都合よ」
「信じる」
ピーターは黙って、俯き、ウェンディと繋いだ右手に、左手を重ねる。
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