Believe/鏡文志
「大人なんて、大嫌いだ」
と、ピーターパンは言った。
「僕を沢山殴ったからね。殴ったり蹴っ飛ばしたりした。でも、本当はそれだけならいいんだ。それを、隠蔽した。嘘を本当だと言うことにしたんだ。それで僕は大人になれず、空を飛び回る運命を選んだってことさ」
「でも、お父さんとお母さんは、貴方を愛してるでしょう?」
とウェンディは、心配そうに尋ねた。
「愛? 愛って、なに?」
「愛とは、意思よ」
「意志?」
「そう。手放すも、放り投げるも、本人の意思。愛とは、そう儚いものよ」
「愛が意志なら、信じる」
「信じるも信じないも、それは貴方の都合よ」
「都合?」
「そう、都合。サンタクロ
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