Interlude。/田中宏輔
ああ、海が見たい。
(リルケ『マルテの手記』第一部、大山定一訳)
きみは海を見たことがある?
(パヴェーゼ『丘の上の悪魔』10、河島英昭訳)
ぼくは
(サルトル『アルトナの幽閉者』第一幕、水戸多喜雄訳)
バスで行くことに決めた。
(カミュ『異邦人』第一部、窪田啓作訳)
すると、
(ロバート・A・ハインライン『悪徳なんかこわくない』上・2、矢野 徹訳)
ふと
(ホーフマンスタール『アンドレアス』大山定一訳)
目の前に
(ル・クレジオ『海を見たことがなかった少年』豊崎光一訳)
極上の麻の白いハンカチが現われた。
(ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』11、鼓 直訳)
ぼくは
(ヘッセ『デーミアン』第七章、吉田正己訳)
バスを待つ行列の
(原 民喜『夏の花』)
あいだを
(ワイルド『サロメ』西村孝次訳)
白いハンカチが、ひらひらしながら遠ざかって行くのを眺めた。
(モーパッサン『テリエ館』2、青柳瑞穂訳)
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