ふたりの少女と、通り過ぎ行く人々と/涙(ルイ)
んなこと 口にしないでちょうだい
まったくなんて穢い なんて悍ましい子どもなの!
どこにも誰にも 本当に悲しいひとの悲しいが届かない
ひと知れず流されたいくつもの涙が
海にすら還ることさえ適わずに
今日もどこかで すっかり乾涸びてしまいました
そうです そうなんです
たまたま聞こえていただけですもんね
たまたま見てしまっただけですもんね
知っていたけど ただ知っていただけですもんね
だからきっと それについてあれこれ責める筋のことでは
決して 決してないのかもしれません
太宰の人間失格の一節ではないですが
世間
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