Interlude。/田中宏輔
 
ぼくは
(サルトル『一指導者の幼年時代』中村真一郎訳)

花びらが
(カミュ『異邦人』第一部、窪田啓作訳)

海に落ちてゆくのを見つめていた。
(ナボコフ『ベンドシニスター』4、加藤光也訳)

ページをめくると、
(ジイド『贋金つかい』第一部・十二、川口 篤訳)

海だったのだ。
(モーパッサン『女の一生』十三、宮原 信訳)

ふと本から眼を上げた。
(カフカ『審判』第一章、原田義人訳)

テーブルの上に
(サルトル『部屋』二、白井浩司訳)

ハンカチが
(ジイド『贋金つかい』第三部・九、川口 篤訳)

たたまれて置かれてあった。
(リルケ『オーギュスト・ロダン』第一部、生野幸吉訳)

さわってごらん、ずぶぬれだ──
(カフカ『審判』第六章、原田義人訳)

波に運ばれて
(ジイド『贋金つかい』第一部・二、川口 篤訳)

ふたたび生まれ変ったのだ。
(ジイド『地の糧』第一の書・二、岡部正孝訳)

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