チューニング・ライフ/ホロウ・シカエルボク
 
覚えておくといいよ、そこには個が個である理由などなにも存在しない、ただ生まれて来て死ぬ、巨大な蟻のようなものになるんだ、俺はこれまでに何度も、そんな連中を見ては肩をすくめたものさ、大きな波が来たからって乗っちまうのは考えものだね、彼らはいつだって主流である自分たちの方が正しいとそういう顔をしているけれど、その実ただ数が多いってだけの話なのさ、考えてもみなよ、誰にでも信じられるようなものが真実であるはずがないじゃないか、俺たちは個体として生まれてくるんだぜ、わざわざ前が見え辛い眼鏡をかける必要なんかないんだ、自分が見つめているものをとことん突き詰めればいい、真実なんてゲーテの時代からずっとそういうも
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