この沸騰の夏日に(改訂)/ひだかたけし
 
夏の遠き
記憶の残照か

闇の粒子掻き分け
兄に導かれ辿った森の

深奥に闇の明けゆく朝焼けと共
カブト虫やらクワガタやら

幹の蜜をじっと吸い込み黒々艶めくを
発見した瞬間のオドロキ鮮やかに

蘇るこの沸騰の夏日 、

 兄も父も母も最早居なくなり
  チリンチリンと風鈴も鳴らず
  ただ今の私の魂の意識にだけ
 あの瞬間の時空の旋回光り輝き

もわりもんわり膨らみゆく
輝雲の行方 、追っている
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