ことばは生きて何度だって壁にはずむ/菊西 夕座
こんど、ほうき星とともに起きたなら
ほのおをとじこめたこの形骸を羽化して
凍りはりついたくちびるを高音でとかし
おんどく不能な音波となってはばたこう
死をもっておわるせかいが合掌ならば
手あわせの拍子にはさまる子音こそ
とじこめた宇宙の生いたつ声であり
手をわかつまで反響しあう波となる
沈黙のおしふる夜はせつなにすぎず
まばたくうちに次なる鼓動がはねかえる
やわらかな弾みをおびた無限の波
想像だけがとじた宇宙をこえうるならば
いとしいあなたのくちびるに身をかさね
あすにはばたくことばとなって燃えたとう
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