心情の予感/ひだかたけし
この朝に起き
ベランダに
真紅に色付き
咲き誇りゆく
ガーベラ見入り
そうしてしばらく
静かな喜びの感情
胸奥から心臓から
内底から満ち溢れ
とくんとくんと脈打ち
身体に隈なく浸透してゆく
外へと扉開き歩き始めれば
はらはら百日紅の花びら
眼前に舞い落ちて来て
その鮮やかなピンク
想わず掌に乗せ
花びら見入る
この自らの眼から
触手を伸ばし出し
波状の花びらの
ピンクの色彩
正五角形を
一途にゆるり
為しゆく様を
取り巻き包み込み
静かな喜び更に
充ちゆく深奥
しろきしずかさ
保たれながらに
少しずつ始まる
肉の苦、火の肉、
それでも消えることなく
この静かな喜びの夕に至り
心の深奥から魂に浸透する
この深い心情の温か明るむもの、
新た内なるヒカリ成就する予感を孕み持ち。
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