制限速度マイスター/イオン
制限速度プラスで
駆け抜ける峠道
それがビジネスの速度
実はナルシズムの速度
コーナリングでのロールが
大きい程やってる感があり
遅いクルマを追い越す度に
優越感に浸りつつ
峠の駐車場に滑り込む
ニ、三分で抜いたクルマが到着すると
ニ、三年早く出世したような気分だった
制限速度キープで
地味に走る峠道
クルマ酔いをする彼女は
走り屋のマナーを監視するので
峠道を制限速度で走る
カーブ前に速度を緩めず
コーナリングでのロールを最小にして
彼女の頭を揺らさず笑顔をキープする
制限速度プラスよりもキープのほうが
遥かに難しいと悩みつつ
峠の駐車場に滑り込む
その場で彼女のご機嫌で採点結果が判る
こんな走りがいのあるドライブは初めてだ
でも一人で走る時は
制限速度プラスに戻ってしまう
法律と同じで実害がなければ問われないが
走りを極めていくと
人間関係を乗せて走っていることに気が付く
アクセルワークで後退することもある
制限速度キープが一番難しい
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