Pastiche。/田中宏輔
た。
? 鳥籠には、何ひとつ残っていなかった。
? 鳥が鳥籠のことを忘れても、鳥籠は鳥のことを忘れない。
? 鳥籠はすっかり関節がはずれてしまった。
? かわいそうに、鳥籠は、きょうの午後、死んじゃいました。
Opus Secundum
鳥籠が小鳥を探しに出かけた
(カフカ『罪、苦悩、希望、真実の道についての考察』一六、飛鷹 節訳)
? いまや、鳥籠は、自分自身のもとへ帰って来た。
? 世界は割れていた。鳥籠は探していた。
? 鳥籠は鳥籠のなかを、ぐるぐる探し廻る。
? 鳥籠は奇妙にもあの童話のぶきみな人物にも似て、目をぐるぐる
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