楽園。/あらい
 
 いいか、この街は空の鮮やかなことを知っていたら。いま、支離滅裂に開いた口を塞ぐ。その仕草も全部あまい。それではまいにち同じことを繰り返して。いつかはハツカネズミの供色で。たぶん海のひかりは愛情だったと

 あなたはだからはだら雨音に近くなると。重いものとをおおいかくす陽も まっさらだった死にぞこないの 無彩色をつくったものの
 だからきみの、鈍い脆さで滑って統べいる椅子が しあわせばかりは変わらないずさんなみちで。丁寧に拭いては合言葉をなくす。耳朶におとし、躊躇わずに恋える
 それは傷も凹凸もわからないから。幾重の草藪を分けて、泣いて。やっぱりのばらのいばらだけれど

 未整理の享年
[次のページ]
戻る   Point(1)