八月の狩蜂/ただのみきや
浮力を失くした夏を掌に掬い上げ
大地は死者と契る
数は数えるものではなく
総体として抱きしめることで
各章から噴き出す色彩の嗚咽や戦慄きすら
受肉した祝祭の肌を駆ける花びらであることを
ご覧この意識がギリギリまで捻じれ
ふつりと千切れる様
きみがきみに似せた小さな偶像の頭の中に
記号の木乃伊を切り貼りして詰め込もうとも
皮膚を裏返されたハリネズミのよう
名前からこぼれて液化した心臓を抱きしめる
愛と信仰の教義に酷似した
しなやか欲望の鎌首を扱(しご)く
向かいの屋根の烏のお辞儀 月を乗せる角度
朝顔に溺れて星を吐く黄金虫の夢
骨格に絡む
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