羽(加筆した結果、散文に投稿することにしました)/パンジーの切先(ハツ)
祖父の他には祈る相手のツテもなく、そのまま、おじいちゃん助けて、おじいちゃん助けて、と藁にもすがる気持ちで祈り、目を閉じると、そのまま目が開かなくなった。そうしているうちに、どこか知らない場所で、私と同じくらいの深刻さで両手の指先を組み、唸る老人の姿が見えた。それが祖父なのかは、ぼやけていてわからないが、祖父は信心深いひとであったことには違いないので、私は、おじいちゃん助けて、おじいちゃん助けて、とその後も繰り返す。そして、両手の指先を組んで、一心不乱に何事かを口にしているその老人のリズムに合わせて、私もトイレの冷たい床に横たわって両手を擦り合わせて祈った。
どれくらいの時間が経ったのかは
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