しずかなふちどり/夏/
唐草フウ
すれちがいはさみしいね
通り雨は
違う場所に降っている
うそはもっとさみしいね
蛍は水しかのまなくて
手のひらですぐいきたえる
でもわたしはそんな儚い
あなたになれず羽を噤む蝉だ
暑夏、この夜の果実を滑らかに落ちたい
しずかな藍が明けるまで
手を重ねるだけでいい
麦茶が汗をかいている
板間に投げ出した裸足のさき
あいたいと思い巡らせ膝を立てた
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