深海のモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 
のちょっと耐えられないからね、わざわざ不自由な場所に身を置くことがストイックだとは思わないぜ、俺にはそれは途轍もない怠慢に見えるよ、これは照準の定め方なんだ、広いところからだんだんと絞って行ってある一点を目指す、なにかを表現するって結局はそういうことなんだろう、そのきっかけになるのは例えば明け方の悪夢だったり、昨日の食事だったりするわけさ、すべてにフォーカスを定めたいのか、それともその中の一点なのか?それがはっきりしないまま指先を動かし続けていると、頭より先に身体がそれを理解し始めるんだ、脳味噌ではなく、肉体がそれを書かせるのさ、まるで腕や胸のあたりに脳味噌が移動して動いているみたいさ、俺はそこに
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