白黒テレビ/ただのみきや
 
そんな記号の縺れや絡まりを休日に解いている
きみは雨音に聞き入って 雨などとっくに止んだのに
トンボの翅を咥えたことがあるかって
森をさまよった少年が手入れもしないナイフを持って
復讐に来るように質問と答えが追われるものと追うものが
盆提灯みたいに回りながらいつしか向こう岸へ渡っていく
失明覚悟で目を開ければ天秤皿の上に乗ったきみの心臓
釣り合うためにあといくつ記号の知恵の輪を乗せればいい
遊びだからこそ本性はけだるさのなか飢え
耳の奥で虹を見上げる植物みたいに笑っていた
水死した幸福論を裸で抱きしめるつめたさに沸々と
花開くモノクロの世界 きみの瞳が映すものあるいは
きみの瞳を映すものの囁くような手招き
詩や死の向こう側 あるのやらないのやら


                     (2024年7月28日)







戻る   Point(6)