由比寺の刀/atsuchan69
 
げて馬上の景時とその従者を襲った。景時は鎧の上に揚羽紋の陣羽織を着ており、黒塗りの兜の前立てもまた揚羽蝶だった。彼の胸には、主君への忠誠と復讐の炎が燃えていた。

「今こそ親方さまの無念を晴らす時が来た!」

 景時は叫び、刀を掲げた。胴丸を着た武者たちの背にはためく指物も黒字に白の揚羽紋だった。これに対して佐川氏の武者たちの鎧は赤く、背中の指物は黒い月丸扇だった。にわかに生ぬるい風が吹き、そのとき、激しい光と雷鳴とともに妖しい力が激しく彼に臨んだ。景時の振り上げた刀はまばゆい輝きをおびた白い光芒となり、たちどころに千人もの首が芝草の生えた土の上に落ちた。

 景時は言った、


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