LET THERE BE MORE LIGHT。/田中宏輔
 
画布(カンヴァス)の中に
(夏目漱石『三四郎』三)

海がある。
(詩篇一〇四・二五)

海辺のきわまで
(エリノア・ファージョン『町かどのジム』ありあまり島、松岡享子訳)

雑草がびっしり生い茂っていた。
(フォークナー『サンクチュアリ』22、加島祥造訳)

亀が
(スタインベック『怒りの葡萄』第六章、大久保康雄訳)

草の中から
(夏目漱石『草枕』十)

音もなく出てきて
(フォークナー『赤い葉』4、滝口直太郎訳)

日向ぼっこをして
(ヘンリー・ミラー『暗い春』春の三日目か四日目、吉田健一訳)

甲羅を干している。
(夏目漱石『野分』三
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